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ボッコちゃん
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星新一という作家をご存じですか?
昭和30年代~平成に活躍した「ショート・ショートの神様」と言われたSF短編小説家です。
「ようこそ地球さん」「ボッコちゃん」「ノックの音が」などの単行本を読み漁ってました。
内容を覚えているものはあまり多くないですが、短編でありながら、風刺的でウィットがあり、どんでん返しがあって、今読み返しても面白いのではないかなって思っています。
なかでも代表的な作品が「ボッコちゃん」。
(ここからはネタバレです。)
バーのオーナーが、見た目が完全に人間の美人ロボット「ボッコちゃん」を作り、店に置きます。
オウム返し的な会話しかできないですが、お客に相手をさせます。
お客はボッコちゃんを人間だと思って店に来てボッコちゃんにお酒をおごります。
オーナーはこっそりとボッコちゃんの飲んだお酒を回収してそれをお客に出すので経済的。
ボッコちゃんに熱をあげた青年がいました。
彼は通い詰めて、ボッコちゃんとはいつもあと一歩という感じで、恋心がどんどん高まっていきます。
そのため、勘定がたまって支払いに困りとうとう家の金を持ち出そうとして父親にこっぴどく怒られます
「もう二度と行くな。この金で払ってこい、これで終わりだぞ。」
今夜で終わりと思い、酒を飲みボッコちゃんにも飲ませます。
「もう来られないんだ」
「もう来られないの」
「悲しくないのかい」
「悲しくないわ」
その言葉に青年は怒り、毒の酒をボッコちゃんに飲ませ立ち去ります。
回収された酒がお客に振舞われます。オーナーも面倒くさい客がいなくなりその酒を飲みます。
…静かになった店にはラジオ放送が流れていてボッコちゃんだけがいる。
会話をするロボットという題材でウィットに富んだこの作品は1958年に書き上げられており、初期の人工知能イライザが作られた6年前のものというのも驚かされます。
現代のAI技術を搭載したボッコちゃんならどんな結末になっていたでしょうね。