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環境と利便性 ―「そこそこ」は最強

コンクリートの材料であるセメントを製造する時に大量の二酸化炭素を放出します。

セメントの原料には石灰岩が使われており、この石灰岩の主成分は炭酸カルシウムです。

これを粘土などと共に焼いて作ります。

このとき石灰岩は二酸化炭素と酸化カルシウムに分解しますが、石灰岩1000kgを使用すると約440kgの二酸化炭素が出てきます。

セメントは1400℃以上の熱で作りますので当然燃焼の際にも二酸化炭素が出ます。

セメントを1000kg作る時に発生する二酸化炭素の合計は約800kgです。

今、二酸化炭素排出の削減が叫ばれるなか、セメント業界も環境対策の観点が最大の課題のひとつとなってきています。

 

一方、私たちはセメントを用いてコンクリートとして土木・建築に幅広く利用しています。

その理由は、ひとことで言えば、こんな便利なものが他に無いからです。

具体的に挙げれば、

・原料となる資源がどこでも比較的に豊富にあること、

・安価であること、

・強度がそこそこ高いこと、

・(木やプラスチックに比べて)耐久性がそこそこ優れていること、

・(金属に比べて)そこそこ軽いこと、

・不燃であること、

・(石、セラミックスに比べて)成型がしやすいこと、

・強度設計ができ安全性が確保できること、

・他の物質を混ぜられること等々です。

大量に必要で長期にわたって安定して活用しなければならない土木・建築資材として利点を多く持っています。

これらの利点から、コンクリートの代替になるものが現代においても無いのです。

同様のことは鉄鋼においても言えます。鉄鋼も1000kg作るのに二酸化炭素が約1800kg発生するのです。

言わずもがな、鉄鋼もトータル的な利便性から代替が難しい材料です。

 

コンクリートも鉄鋼も現代の生活の基盤素材であり、現文明の必須物質です。

今後、この二つの素材を利便性の観点から超えるものが現れるでしょうか?

筆者は当分の間そのような素材はでてこないと思います。

私たちは利便性を求める一方でどこかに負荷をかけて活きているのです。

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