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白と銀 その2 映画「2001年宇宙の旅」
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スタンリー・キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」はアポロ11号が月面着陸する前年の1968年公開です。
今から55年も前にも関わらず出てくる宇宙船、宇宙ステーションは今見てもあまり古さを感じさせないので驚いてしまいます。
実はキューブリック監督は最初、宇宙船やステーションを銀色で作っていたのですが、映画完成間近でNASAに行ってロケットが白色に変わっていることを知り、急いでシャトルや宇宙ステーションを白色に塗り替えたのだそうです。
2001年宇宙の旅についての雑談をもうひとつ。
2001年宇宙の旅のストーリーは難解でいまでも様々な解釈がされている哲学的な面も持っていますが、キューブリック監督がこの映画の構想を考え始めたころの話です。
映画で登場する人工知能HAL9000は赤いランプのようなセンサーが宇宙船の要所に配置されたものになっていますが、初稿ではロボットをイメージしていました。
名前もHALではなく「ソクラテス」となっていました。
映画制作に技術協力してくれたIBMにちなんでアルファベットの一文字前を使ってHALとした話は有名です。
知能を持つロボットを構想していたキューブリックは、映画製作にあたって手塚治虫に美術監督の依頼をしていました。
その時代、欧米におけるロボットに対するイメージは知能や感情を持たない道具的なものでしかありませんでした。
しかし、手塚治虫の創造する鉄腕アトムなどのロボットは人間のように考えたり振舞ったりします。
キューブリックが手塚治虫に白羽の矢を立てたのは必然だったのかもしれません。
手塚治虫はこの依頼に乗る気でしたが、当時(1964年)鉄腕アトムの連載で多忙を極めており周囲からの反対で断念することになったようです。
結局は、ロボットの構想はボツになってしまいましたが、もし実現していたらどんな作品になっていたでしょう。