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カタツムリと貝
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骨や歯はカルシウムを多く含んだ物質で出来ています。
筆者も小さい頃、骨折した時に「牛乳はカルシウム豊富だからたくさん飲めば早く治る。」なんて言い聞かせられました。
さて、セメントの主成分にもカルシウムが沢山(約6割)入っていますが、誰も健康のためにセメントやコンクリートを食べる人はいないですね。
ところで、雨の日にコンクリート壁にカタツムリがはっているのを見たことありませんか?
カタツムリは殻の成長のために、貝殻とか死んだカタツムリの殻などからもカルシウムを摂っているのですが、コンクリートからもカルシウムを摂取しているのです。
見かけたら、お食事中なのでそっとしておいてあげましょう。
さて、この写真はなんでしょう?
畳表のようでもあり、エスカレーターの踏み板のようにも見えますね。
実はアワビの貝殻の断面を電子顕微鏡で見た様子なのです。
倍率5000倍、板一枚の厚さは約0.5ミクロンメートル。つまり1mmのなかに、この板が2000枚も積み重なっています。
この厚さは、光の波長0.4~0.8ミクロンメートルに近いため、光の干渉が起こり、虹色のように見えます。
アワビの内側が虹色に光っているのは、この板の構造によるものです。
そしてアワビの貝殻ってそう簡単に壊れませんよね。
たかだか2,3ミリの厚さなのに人が乗っても割れない強度があります。その秘密は、この薄い板が何千も重なり合っているからです。
積層になっていることで、外力がかかると層がずれて、応力を分散し、破壊されにくくしています。
この板の正体は、アラゴナイト(別名アラレ石)と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶です。
貝類は海中からカルシウムと炭酸ガスを取り入れて貝殻を作りますが、見事な結晶の配列は、たんぱく質の助けを借りて作られているようです。
何億年も前から、強靭な複合材料を作ってきた生物に畏敬の念を覚えます。